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「言語政策」という表現は,言語学そして社会系諸学の研究者の中でも十分認知された表現ではないかもしれない。日本では90年代後半になってようやく,多言語社会研究会,日本言語政策学会といった組織が活動を始めた。そこでの研究を概観すると,次の二点に絞られる。まず,日本語教育,英語教育,第二外国語教育といった言語教育系の研究である。これは直面する課題に対する主張を含む政策論的な視点である。もう一つが,国内外の少数言語・マイノリティ研究である。そして,最近では,言語政策の理論的研究も徐々に報告されるようになってきた。今回ご講演いただく先生方は,ともに実践的研究から理論あるいは政策レベルへ研究を発展させている,日本の言語政策研究の代表的研究者である。
平高先生のご報告は,従来,社会言語学の応用的な一分野として理解されがちであった言語政策を,総合政策学,政策研究と関連させる方向性を持ち,一方,木村先生の報告は,言語政策を日常的な言語活動と接続していく方向性を提示するものである。前者が現実の問題への対処から出発するのに対して,後者は現実をとらえる研究者の視線の問題から出発するという違いと,どのような文脈へ展開していくかという焦点の当て方の違いがあるが,両報告は言語政策をより広い文脈に位置付けて,実践的な研究活動をめざすという点では共通する。
言語のみならず今後の社会政策にも関連する分野であり,教職員はもとより,大学院生,学部学生の参加を大いに促したい。
- 日時:10月27日(木) 15:00~18:00
- 場所:1603教室 (校舎1号棟 6階)
- 発表者・テーマ:
- 平高史也氏 (慶応大学総合政策学部教授)
- 「総合政策学から見た言語政策研究」
- 木村護郎クリストフ氏 (上智大学外国語学部専任講師)
- 「言語政策研究における人間疎外をこえるために」
- 司会:山川和彦 (麗澤大学外国語学部助教授)
- お問い合わせ: 山川 (kyamakaw [ @ ] reitaku-u.ac.jp ← @ の前後の四角カッコおよびスペースを削除してください),鈴木 (センター事務室, TEL: 04-7173-3761)
- Updated お知らせ: 講演者の先生方の関連論文を研究センター事務室にて配布しています!
- 平高史也氏 (慶応大学総合政策学部教授)
東京外国語大学大学院外国語学研究科ゲルマン系言語専攻 ,文学博士 (ベルリン自由大学)。
ドイツ語教育,日本語教育,社会言語学を専門とし,最近では,日系ブラジル人の日本語習得に関しても実証的研究をされている。主要書著に,『日本語教育史』 (共編著, アルク, 1997年),「言語政策の枠組み-現代日本の場合を例として」梅垣理郎 (編)『総合政策学の最先端III-多様化・紛争・統合』 (慶應義塾大学出版会, 2003年),Der Erwerb der Temporalität im Japanischen als Zweitsprache. Eine empirische Untersuchung zu Lernervarietäten brasilianischer Immigranten. (München: iudicium Verlag, 2001) などがある。
- 木村護郎クリストフ氏 (上智大学外国語学部専任講師)
一橋大学大学院言語社会研究科博士課程修了,博士 (学術) (一橋大学)。
専門は地域研究,言語社会学,外国語教育 (ドイツ語)。ドイツ東部のゾルブ語集団の研究を行う一方で,言語政策,特に言語権,言語管理に関する研究を行なっている。主要著書に『ことばへの権利』(共著編, 三元社, 1999年),「ソルブ―ドイツ語圏とスラヴ語圏の架け橋として」原聖/庄司博史 (編)『第6巻 ヨーロッパ』(講座「世界の先住民族―ファースト・ピープルズの現在」, 明石書店, 2005年),『言語にとって「人為性」とはなにか―言語構築と言語イデオロギー:ケルノウ語・ソルブ語を事例として』(三元社, 2005年) などがある。